6月15日、昨日に引き続き伊勢茶道協会 表千家 春木冨美子先生とその社中の奉仕により野点茶会が催されました。
梅雨に入り、鬱陶しい天候と夏の暑さも相俟っているので、茶席は「涼一味」を感じさせるものとなっています。
棗には川面に鮎が描かれ、茶杓の銘は「岩清水」。7月に山開きをする雪の残る富士山を釜にしています。
また外宮の参拝とせんぐう館に入館される方への呈茶となることから、
茶碗には神宮の御山杉(みやますぎ)を描いた仁清写の永楽妙全作を配しています。
茶席は、
掛け物 鷹司尚武神宮大宮司揮毫 色紙 「清々しく瑞々しく」
花 虎の尾・上げ花火・紫陽花
花入 手付置籠 碌々斎好
釜 富士 古鏡蓋添 和田美之助造
棚 末広棚 即中斎好
水指 菊桐鶺鴒文かぶと鉢 美濃不二窯 佐藤和子造
茶器 せせらぎに鮎蒔絵中棗
茶杓 堀内兼中斎作 銘「岩清水」
茶碗 仁清写 杉絵 永楽妙全造 即中斎箱
替 雲錦手天目形 松阪万古 佐久間芳山作
替 菊唐花菱盛絵 四日市万古 清水醉月作・清水きし代絵
干菓子 紅白まがたま
菓子器 神宮御山杉片木
建水 曲げ
蓋置 瓔珞文薩摩 玉陶山製
茶席に備えている水指は美濃不二窯、佐藤和子作です。
佐藤和子氏は今年の4月10日に水指を奉納されました。
同氏は福島県いわき市の出身で、東日本の被災地に陶芸作品を贈って支援され、
全国各地で東北復興支援の個展を開かれ、義捐金を送られています。
奉納された水指について、次のように承りました。
作陶にあたり神宮に相応しく、また外宮で行われる野点茶席に添えられるものを意識した。
水指の意匠には、神宮に相応しい点から菊桐紋を配して、
外宮まがたま池の花菖蒲を水指の中に金彩や銀彩で描き、形は菖蒲を飾る五月の節句に因んだ兜鉢。
水指の胴部にはまがたま池を想起させる流水紋を篦で刻み、
つがいの鶺鴒(せきれい)が子を育てている図を上絵で描いています。
鶺鴒(せきれい)は豊受大神宮御装束の一つである緋錦御衣(あけにしきのみぞ)
として調製される錦をモチーフにしています。
錦は赤地鶺鴒文錦(あかぢせきれいもんにしき)で、つがいの鶺鴒が紋様になっています。
せんぐう館の第4展示室にも展示しておりますのでご覧ください。
外宮の野点茶会は6月21日(土)・22日(日)に開催致します。伊勢茶道協会裏千家の奉仕です。
外宮参拝とせんぐう館入館とともにお寄り頂ければと思います。